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📚 ISO45001完全実務ガイド
📍現在地:基本思想編(2/6)
✓ 第7回 PDCAとは何か
● 第8回 プロセスアプローチとは ← 今回
○ 第9回 リスクと機会とは
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この記事で分かること
この記事では、次のことが分かります。
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プロセスアプローチとは何か
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ISO45001でなぜプロセスアプローチが大切なのか
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PDCAとプロセスアプローチの関係
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安全衛生活動を「点」ではなく「流れ」で見る考え方
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リスクアセスメント、教育、点検、是正処置をつなげる考え方
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現場で確認すべき基本ポイント
この記事の結論
プロセスアプローチとは、簡単に言えば、安全衛生活動を一つひとつの作業としてバラバラに見るのではなく、目的・活動・結果・改善がつながった流れとして見る考え方です。
例えば、リスクアセスメントを実施したとします。
しかし、その結果が作業手順書に反映されていない。
教育にも使われていない。
現場点検でも確認されていない。
改善にもつながっていない。
このような状態では、リスクアセスメントを行っていても、安全衛生活動として十分に機能しているとは言いにくいです。
ISO45001では、安全衛生活動を一つひとつの書類やイベントで終わらせるのではなく、組織全体の仕組みとして動かすことが重要です。
そのために必要になる考え方が、プロセスアプローチです。
プロセスアプローチとは何か

まず、「プロセス」という言葉から確認します。
プロセスとは、簡単に言うと、何かを始めて、活動を行い、結果を出すまでの流れです。
難しく考える必要はありません。
例えば、職場で安全教育を行う場面を考えてみます。
安全教育は、ただ講師が話して、受講者が出席すれば終わりではありません。
安全教育には、次のような流れがあります。
| 見るポイント | 安全教育の例 |
|---|---|
| 目的 | 作業者が安全な作業方法を理解する |
| もとになる情報 | 作業手順書、災害事例、リスクアセスメント結果 |
| 実施する活動 | 講義、実技、質疑応答、理解度確認 |
| 結果 | 教育記録、理解度、現場での行動変化 |
| 次につなげること | 手順の見直し、再教育、現場確認 |
このように見ると、安全教育は単なる「教育実施」ではありません。
安全教育は、危険を減らすための一つの流れです。
この流れを意識して管理する考え方が、プロセスアプローチです。
「点」で見る安全衛生活動と「流れ」で見る安全衛生活動

安全衛生活動がうまくいかない会社では、活動が「点」になっていることがあります。
例えば、次のような状態です。
-
リスクアセスメント表はある
-
安全教育の記録もある
-
作業手順書もある
-
安全パトロールもしている
-
内部監査もしている
一見すると、きちんと安全衛生活動をしているように見えます。
しかし、次のような状態になっていないでしょうか。
-
リスクアセスメントの結果が教育に使われていない
-
教育内容が実際の作業と合っていない
-
作業手順書が古いままになっている
-
安全パトロールの指摘が改善につながっていない
-
内部監査が書類確認だけで終わっている
-
同じような指摘が毎年繰り返されている
この場合、活動は存在しています。
しかし、活動同士がつながっていません。
これが「点」で見る安全衛生活動です。
一方、プロセスアプローチでは、安全衛生活動を「流れ」で見ます。
例えば、次のように考えます。
現場の危険を見つける
↓
リスクアセスメントを行う
↓
必要な対策を決める
↓
作業手順書に反映する
↓
作業者に教育する
↓
現場で実施する
↓
点検・監査で確認する
↓
問題があれば改善する
↓
次の活動に反映する
この流れがつながっていると、安全衛生活動は実務で機能しやすくなります。
反対に、どこかで流れが切れると、書類はあっても現場の安全につながりにくくなります。
ISO45001でプロセスアプローチが重要な理由
ISO45001は、単に「安全に気を付けましょう」という規格ではありません。
組織が、安全で健康的な職場をつくるために、労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、運用し、改善していくための規格です。
ここでいうマネジメントシステムとは、会社が安全衛生活動を継続して行うための仕組みです。
仕組みである以上、活動はつながっていなければなりません。
例えば、危険源の特定だけをしても、それで終わりではありません。
危険源とは、事故や健康障害につながるおそれがあるものであり、「エネルギーを持っているものそのもの」です。
例えば、
-
回転している機械
-
高所作業
-
有害な化学物質
-
重量物の取り扱い
-
暑熱環境
-
無理な作業姿勢
-
通路の段差
-
フォークリフトとの接触可能性
などが考えられます。
危険源を見つけたら、次にその「結果の重大性」と「発生確率」を考えます。
ここで重要なのは、発生確率には「危険源と接する時間」「危険事象の発生確率」「現状で事故を起こさないための予防措置」も考慮に入れる必要があるということです。
現状で事故を起こさないための予防措置としては例えば、
- 手順書を作成
- 教育、訓練を実施する
- 危険源に安全カバーの取り付け
これらのような、予防措置も考慮した上で発生確率を考えていきます。
「結果の重大性」と「発生確率」を掛け合わせて評価する活動をリスクアセスメントといいます。
しかし、リスクアセスメントをしただけで安全になるわけではありません。
その結果をもとに、
-
対策を決める
-
作業手順を見直す
-
必要な教育を行う
-
保護具を確認する
-
設備改善を検討する
-
作業者へ周知する
-
実施状況を確認する
-
必要に応じて見直す
という流れにつなげる必要があります。
この「つながり」を見ることが、ISO45001におけるプロセスアプローチの実務的な意味です。
PDCAとプロセスアプローチの違い

前回の記事では、PDCAについて説明しました。
PDCAとは、次の4つの流れです。
-
Plan:計画する
-
Do:実行する
-
Check:確認する
-
Act:改善する
PDCAは、安全衛生活動を改善していくための大きな流れです。
では、プロセスアプローチとは何が違うのでしょうか。
簡単に整理すると、次のようになります。
| 考え方 | 何を見るか | 安全衛生での意味 |
|---|---|---|
| PDCA | 改善の流れ | 計画し、実行し、確認し、改善する |
| プロセスアプローチ | 活動同士のつながり | 目的、情報、活動、結果、責任、改善をつなげる |
PDCAは、活動全体を回すための考え方です。
プロセスアプローチは、その中にある一つひとつの活動が、きちんとつながっているかを見る考え方です。
例えば、安全パトロールを考えてみます。
PDCAで見ると、次のようになります。
| PDCA | 安全パトロールの例 |
|---|---|
| Plan | 今月の重点確認項目を決める |
| Do | 現場を巡回する |
| Check | 指摘事項や良好事例を確認する |
| Act | 改善や再発防止につなげる |
一方、プロセスアプローチで見ると、もう少し具体的に確認します。
-
何のために安全パトロールを行うのか
-
何をもとに重点確認項目を決めたのか
-
誰が確認するのか
-
指摘事項を誰に伝えるのか
-
改善完了を誰が確認するのか
-
同じ指摘が繰り返されていないか
-
次の教育や作業手順見直しにつながっているか
このように、PDCAとプロセスアプローチは対立するものではありません。
むしろ、一緒に使うことで安全衛生活動が実務に落とし込みやすくなります。
プロセスとして見るべき安全衛生活動

ISO45001の実務では、次のような活動をプロセスとして見ると整理しやすくなります。
| 活動 | プロセスとして見るポイント |
|---|---|
| 危険源の特定 | 現場の危険をどのように見つけるか |
| リスクアセスメント | 危険の大きさをどう考え、対策へつなげるか |
| 法令等の確認 | 守るべきルールをどう確認し、社内に反映するか |
| 安全衛生目標 | 目標を現場活動へどうつなげるか |
| 教育・訓練 | 必要な知識を誰に、いつ、どのように伝えるか |
| 運用管理 | 安全な作業方法を日常業務でどう守るか |
| 緊急事態への準備 | 異常時に実際に対応できる状態か |
| 内部監査 | 仕組みが機能しているかをどう確認するか |
| 是正処置 | 問題の原因を考え、再発防止につなげるか |
| マネジメントレビュー | 経営層が必要な判断を行う材料になっているか |
ここで注意したいのは、活動を「書類名」で見ないことです。
例えば、リスクアセスメント表があるかどうかだけを確認しても不十分です。
大切なのは、そのリスクアセスメント表が実際に使われているかです。
具体的には、次のように確認します。
-
現場の作業内容が反映されているか
-
過去の災害やヒヤリハットが反映されているか
-
決めた対策が作業手順に反映されているか
-
作業者に教育されているか
-
対策が現場で実施されているか
-
効果を確認しているか
-
必要に応じて見直しているか
このように見ると、リスクアセスメントは単なる書類ではなく、安全衛生活動の中心になるプロセスだと分かります。
プロセスアプローチで確認する8つの要素

プロセスアプローチを難しく考える必要はありません。
まずは、次の8つを確認すると整理しやすくなります。
| 要素 | 確認すること | 例 |
|---|---|---|
| 目的 | 何のために行うのか | 災害を防ぐ |
| 入力 | 何をもとに始めるのか | 作業内容、災害事例、法令 |
| 活動 | 何をするのか | 点検、教育、評価 |
| 結果 | 何が出るのか | 記録、対策、手順書 |
| 責任 | 誰が行うのか | 管理者、安全担当者、現場責任者 |
| 基準 | 何を基準に判断するのか | 法令、社内基準、リスク評価 |
| 確認 | 結果をどう見るのか | 監査、点検、現場確認 |
| 改善 | 次にどう直すのか | 是正処置、再教育、設備改善 |
この8つを使えば、安全衛生活動をかなり整理しやすくなります。
例えば、安全教育で考えると、次のようになります。
| 要素 | 安全教育の例 |
|---|---|
| 目的 | 作業者が安全な作業方法を理解する |
| 入力 | 作業手順書、リスクアセスメント結果、災害事例 |
| 活動 | 教育、実技、質疑応答 |
| 結果 | 教育記録、理解度確認、現場での行動 |
| 責任 | 教育担当者、職場管理者 |
| 基準 | 社内教育基準、法令、作業手順 |
| 確認 | 教育後の現場確認、理解度確認 |
| 改善 | 教育内容の見直し、再教育 |
このように整理すると、「教育を実施したか」だけでなく、「教育が安全行動につながったか」まで見ることができます。
実務で最初に確認すべきこと
プロセスアプローチを実務に使うときは、最初から複雑な図を作る必要はありません。
まずは、重要な安全衛生活動を一つ選んで、流れがつながっているか確認してください。
おすすめは、次のどれかです。
-
リスクアセスメント
-
安全教育
-
安全パトロール
-
ヒヤリハット活動
-
是正処置
-
内部監査
例えば、リスクアセスメントを選ぶ場合は、次のように確認します。
-
どの作業を対象にしているか
-
現場の実態を確認しているか
-
作業者の意見を聞いているか
-
危険源を具体的に書いているか
-
対策が決まっているか
-
対策の責任者が決まっているか
-
作業手順や教育に反映しているか
-
実施後に効果を確認しているか
-
作業変更時に見直しているか
この確認だけでも、活動が「書類作成」で止まっているのか、「現場改善」までつながっているのかが見えてきます。
プロセスアプローチとは、安全衛生活動を一つひとつの作業としてバラバラに見るのではなく、目的・活動・結果・改善がつながった流れとして見る考え方です。
例えば、リスクアセスメントを行った場合、その結果を作業手順、教育、点検、改善に反映しなければ、実務で十分に活かされません。
大切なのは、次のような流れです。
現場の危険を見つける
↓
リスクを考える
↓
対策を決める
↓
手順や教育に反映する
↓
現場で実施する
↓
点検や監査で確認する
↓
問題があれば改善する
今回は、プロセスアプローチを実務で使うときに起こりやすい誤解、確認ポイント、FAQを整理します。
よくある誤解

誤解1:プロセスアプローチはISO担当者だけが知っていればよい
これは誤解です。
プロセスアプローチは、ISO担当者だけのものではありません。
安全衛生活動は、現場だけでも、事務局だけでも、経営層だけでも完結しません。
例えば、現場で危険が見つかった場合を考えてみます。
- 現場作業者が危険に気づく。
- 現場責任者が確認する。
- 安全衛生担当者が対策を検討する。
- 管理者が必要な判断をする。
- 経営層が設備投資や人員配置を決める。
このように、安全衛生活動は多くの人が関係します。
そのため、プロセスアプローチは、ISO担当者だけではなく、現場責任者、管理監督者、安全衛生担当者、経営層にも関係する考え方です。
誤解2:書類がそろっていればプロセスはできている
これもよくある誤解です。
ISO45001では、記録や文書は大切です。
しかし、書類があるだけで安全衛生活動が機能しているとは限りません。
例えば、次のような状態はないでしょうか。
-
リスクアセスメント表はあるが、現場作業者が内容を知らない
-
作業手順書はあるが、実際の作業と違っている
-
教育記録はあるが、理解度を確認していない
-
安全パトロール記録はあるが、指摘事項が改善されていない
-
内部監査記録はあるが、毎年同じ指摘が出ている
このような状態では、書類はあります。
しかし、プロセスとしては十分に機能していない可能性があります。
プロセスアプローチでは、書類の有無だけでなく、その書類が次の行動や改善につながっているかを見ます。
誤解3:プロセス図を作ればよい
プロセス図を作ること自体は悪いことではありません。
活動の流れを見える化するために、簡単な図を作ることは役立ちます。
しかし、図を作ることが目的になってはいけません。
例えば、きれいなフロー図を作っても、現場の人が見ていない。
責任者が分からない。
改善の流れが止まっている。
このような状態では、プロセス図は実務で役立っていません。
大切なのは、図の完成度ではありません。
大切なのは、関係者が活動の流れを理解し、実際の安全衛生活動に使えることです。
誤解4:すべての作業を細かくプロセス化しなければならない
これも注意が必要です。
プロセスアプローチは、すべての作業を細かく分解して、複雑な管理表を作ることではありません。
細かくしすぎると、かえって現場で使いにくくなります。
重要なのは、労働災害や健康障害の防止に関係する活動を、適切な大きさで整理することです。
例えば、最初からすべての作業を細かく分けるのではなく、次のような重要活動から確認するとよいでしょう。
-
リスクアセスメント
-
安全教育
-
作業手順の管理
-
安全パトロール
-
ヒヤリハット活動
-
是正処置
-
内部監査
-
マネジメントレビュー
まずは、重要な活動がつながっているかを見ることが大切です。
誤解5:プロセスアプローチは審査対策のために行うもの
プロセスアプローチは、審査対策だけのために行うものではありません。
本来の目的は、現場の安全衛生活動を機能させることです。
審査で説明できることも大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、現場で危険を見つけ、対策し、教育し、確認し、改善する流れができていることです。
審査のための仕組みになってしまうと、書類は整っていても、現場で使われない仕組みになるおそれがあります。
ISO45001は、労働安全衛生マネジメントシステムの要求事項を定め、組織がリスクを管理し、労働安全衛生パフォーマンスを改善するための枠組みを提供する国際規格です。
そのため、プロセスアプローチも、審査のためではなく、職場の安全衛生を良くするために使う必要があります。
実務で確認すべきポイント
プロセスアプローチを実務で使うときは、次のチェックリストが役立ちます。
1. 活動の目的が明確か
まず、その活動を何のために行うのかを確認します。
例えば、安全パトロールであれば、目的は「巡回記録を残すこと」ではありません。
本来の目的は、
-
不安全状態を見つける
-
不安全行動を見つける
-
良い取り組みを確認する
-
改善につなげる
-
同じ問題の再発を防ぐ
ことです。
目的が曖昧だと、活動は形だけになりやすくなります。
2. もとになる情報が明確か
次に、その活動を何をもとに行うのかを確認します。
これを、少し専門的には「インプット」といいます。
例えば、安全教育であれば、もとになる情報は次のようなものです。
-
作業手順書
-
リスクアセスメント結果
-
過去の災害事例
-
ヒヤリハット
-
法令や社内ルール
-
新しい設備や作業方法の変更点
もとになる情報が古いと、教育内容も古くなります。
例えば、設備を更新したのに教育内容が古いままだと、作業者は実際の作業に合わない知識を覚えることになります。
3. 活動の結果が次につながっているか
プロセスアプローチで特に重要なのが、活動の結果です。
結果が出ても、それが次の活動につながらなければ、プロセスは途中で止まります。
例えば、ヒヤリハット活動を考えてみます。
ヒヤリハットを集めるだけでは不十分です。
集めた内容をもとに、
-
原因を考える
-
類似作業を確認する
-
必要な対策を決める
-
作業手順を見直す
-
教育に反映する
-
対策後の状態を確認する
という流れにつなげる必要があります。
4. 責任者が明確か
プロセスは、責任者が曖昧だと止まります。
例えば、安全パトロールで指摘事項が出た場合、次のことが決まっていないと改善が進みません。
-
誰が指摘を受けるのか
-
誰が対策を考えるのか
-
誰が実施するのか
-
誰が完了を確認するのか
-
誰が再発防止を判断するのか
「誰かがやるだろう」という状態では、プロセスは機能しません。
責任者と役割を明確にすることが重要です。
5. 現場で実際に行われているか
仕組みがあっても、現場で行われていなければ意味がありません。
例えば、作業手順書に「保護具を着用する」と書いてあっても、実際に着用されていなければ、プロセスは機能していません。
確認すべきことは、書類だけではありません。
現場で、
-
作業者が内容を理解しているか
-
必要な保護具が使える状態か
-
手順どおりに作業できる環境か
-
管理者が確認しているか
-
例外的な作業が放置されていないか
を確認する必要があります。
6. 改善につながっているか
最後に、改善につながっているかを確認します。
プロセスアプローチは、活動を回すだけでは不十分です。
問題が見つかったときに、次の改善につながることが重要です。
例えば、同じような指摘が毎年出ている場合、次のように考える必要があります。
-
原因分析が浅くないか
-
対策が一時的な注意喚起だけになっていないか
-
手順や設備に問題がないか
-
教育が現場の行動につながっているか
-
管理者の確認が不足していないか
同じ問題が繰り返される場合、プロセスのどこかに弱い部分がある可能性があります。
プロセス確認チェックリスト
次のチェックリストは、現場でそのまま使いやすい形にしたものです。

この表は、すべてを完璧に埋めることだけを目的にしないでください。
大切なのは、活動が現場の安全衛生につながっているかを確認することです。
実践例:安全パトロールをプロセスとして見る

安全パトロールは、多くの職場で行われています。
しかし、形だけになりやすい活動でもあります。
例えば、毎月決まった日に巡回し、チェック表に丸を付け、記録を保管して終わり。
これでは、安全パトロールの効果は限定的です。
プロセスアプローチで見ると、次のように整理できます。
| 要素 | 安全パトロールの例 |
|---|---|
| 目的 | 不安全状態や不安全行動を見つけ、改善につなげる |
| 入力 | 過去の災害、ヒヤリハット、重点管理項目 |
| 活動 | 現場巡回、作業者への確認、写真記録 |
| 結果 | 指摘事項、良好事例、改善依頼 |
| 責任 | 巡回者、現場責任者、安全衛生担当者 |
| 確認 | 改善完了確認、再発確認 |
| 改善 | 手順見直し、教育、設備改善 |
このように見ると、安全パトロールは単なる巡回ではありません。
現場の状態を確認し、改善につなげるプロセスです。
実践例:リスクアセスメントをプロセスとして見る
リスクアセスメントも、プロセスアプローチで見ることが重要です。
リスクアセスメントは、表を作ることが目的ではありません。
職場にどのような危険があるかを見つけ、その危険を減らすために行う活動です。
プロセスとして見ると、次のようになります。
| 要素 | リスクアセスメントの例 |
|---|---|
| 目的 | 作業にひそむ危険を見つけ、対策を決める |
| 入力 | 作業内容、設備情報、災害事例、ヒヤリハット |
| 活動 | 危険源の特定、リスクの見積り、対策検討 |
| 結果 | リスクアセスメント表、対策内容、残留リスク |
| 責任 | 現場責任者、安全衛生担当者、管理者 |
| 確認 | 対策が現場で実施されているか |
| 改善 | 作業変更時、災害発生時、定期見直し |
ここで注意したいのは、リスクアセスメントを数字のお遊びにしないことです。
点数を付けること自体が目的ではありません。
大切なのは、現場の危険を具体的に見つけ、実際の対策につなげることです。
また、リスクアセスメントをKY活動の延長だけで考えると、作業直前の注意喚起に偏ることがあります。
KY活動は大切です。
しかし、設備改善、作業方法の見直し、教育、保護具、管理体制まで考えるには、リスクアセスメントをより広い仕組みとして見る必要があります。
FAQ
Q1. プロセスアプローチとは、簡単に言うと何ですか?
安全衛生活動をバラバラに見るのではなく、目的から改善までの流れとして見る考え方です。
例えば、リスクアセスメントを行ったら、その結果を作業手順、教育、点検、改善につなげます。
Q2. ISO45001では、プロセスアプローチという言葉を必ず使う必要がありますか?
重要なのは、言葉を使うことではありません。
安全衛生活動が、目的、責任、実施、確認、改善の流れとして機能していることが重要です。
ただし、規格上の正確な表現や要求事項は、ISO45001本文またはJIS Q 45001の正本で確認してください。
Q3. PDCAとプロセスアプローチは同じですか?
同じではありません。
PDCAは、計画、実行、確認、改善という改善の流れです。
プロセスアプローチは、一つひとつの活動について、何をもとに行い、どのような結果を出し、次にどうつなげるかを見る考え方です。
両方を組み合わせると、安全衛生活動を改善しやすくなります。
Q4. プロセス図は必ず必要ですか?
必ずしも必要ではありません。
ただし、活動の流れが分かりにくい場合は、簡単な図にすると役立ちます。
図を作ることよりも、関係者が流れを理解し、現場で使えることが大切です。
Q5. 中小企業でもプロセスアプローチは必要ですか?
必要です。
ただし、大企業のような複雑な仕組みにする必要はありません。
まずは、リスクアセスメント、安全教育、安全パトロール、是正処置など、重要な活動から整理するとよいです。
Q6. プロセスアプローチで最初に見直すべき活動は何ですか?
おすすめは、リスクアセスメントです。
リスクアセスメントは、作業手順、教育、保護具、設備改善、点検など多くの活動につながるためです。
ただし、優先順位は、職場のリスク、法令要求、過去の災害、社内課題によって変わります。
Q7. プロセスアプローチを実務で使うと、何が良くなりますか?
活動のつながりが見えるようになります。
その結果、書類だけで終わっている活動、改善につながっていない活動、責任が曖昧な活動を見つけやすくなります。
第8回全体のまとめ
第8回では、プロセスアプローチについて説明しました。
プロセスアプローチとは、安全衛生活動をバラバラの作業としてではなく、目的から改善までの流れとして見る考え方です。
安全衛生活動では、リスクアセスメント、安全教育、安全パトロール、内部監査、是正処置などが別々に存在しているだけでは不十分です。
それぞれの活動がつながり、現場の安全行動や改善につながっているかを見る必要があります。
次回は、ISO45001を理解するうえで非常に重要な 「リスクベース思考」 を取り上げます。
プロセスアプローチが「活動のつながりを見る考え方」だとすれば、リスクベース思考は「何を優先して考えるべきか」を判断するための考え方です。
ISO45001を実務で使うためには、この2つをセットで理解することが重要です。
注意書き
この記事は、ISO45001および労働安全衛生マネジメントシステムに関する一般的な情報提供です。
この記事は、個別の事業場における法令適合性判断、ISO45001認証審査の合否判断、社内規程の適否判断、具体的な安全衛生措置の最終判断を代替するものではありません。
実際の対応は、ISO45001本文、JIS Q 45001、労働安全衛生法令、行政情報、社内ルール、現場状況を確認し、必要に応じて管理者、専門家、審査機関などに確認してください。
要約
この記事では、ISO45001におけるプロセスアプローチの実務上の確認ポイントを解説した。
プロセスアプローチとは、安全衛生活動を個別の書類や作業としてではなく、目的、入力、活動、結果、責任、確認、改善がつながった流れとして見る考え方である。
安全衛生では、リスクアセスメント、安全教育、安全パトロール、ヒヤリハット活動、内部監査、是正処置などをプロセスとして整理することが重要である。
プロセスアプローチでは、書類の有無だけでなく、その活動が現場の安全行動や改善につながっているかを確認する。
実際の運用では、ISO45001本文、JIS Q 45001、労働安全衛生法令、行政情報、社内ルール、現場状況を確認し、必要に応じて管理者や専門家の判断に基づいて対応する必要がある。
この記事は一般的な情報提供であり、個別現場の最終判断を代替するものではない。



























なぜ世界共通の安全ルールが必要になったのか?











